『女橋』 読了 

水曜に借りてきた藤本義一の『女橋』、一気に読み終える。

大石順教尼をヒロインに据えた連載小説だそうだ。藤本氏によると、「なるべくカラッとした明るいもんに書いておくれやす」と順教尼さんご自身に言われたというが。

市原悦子さん主演でドラマ化もされている。平成の世で見られないのがとても残念だ。ケーブルTVで再放送を切に願う!

ドラマではないが、YouTubeでこんな映像を見つけた。

読書中も気になっていたが・・・やはり。両腕を切り落とされたヒロインが加わる旅回り一座で、彼女の「心の糧」となる少年は、後の柳家金語楼であったのか。

様々な辛酸を舐めつつ、逞しく人生を切り開いていくヒロイン。実在の人物であったということに震えるほどの感動、そして勇気を与えられる。

「忍という字は、刃の下に心と書く」
叡雲の声が、ちよの背にあった。
「心の刃は抜いてはいかん」
「へえ・・・・」
「あんたの字は、俗人が書く字とはちがう。心の字や。心がうったえる字や。その気持ちで、般若心経を写したらええのや。あんたは生きてる。立派に生きてる。五人の死んだ人が、あんたを守ってくれてはる。その人らに・・・あんたが生きてる証拠を見せないかん」
「はい。五人やおません。六人だす。田沢久三郎というお義父さんもいたはります。

たくさんの胸を打つ場面、言葉が散りばめられている。くり返し読みたくなる小説、『女橋』である。

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